2023年4月– date –
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読感
事実と真実はちがう『流浪の月』(凪良ゆう)
*人気作家・凪良ゆうさんの3年前の本屋大賞受賞作です。映画にもなったので、ご存じの方が多いでしょうが、私は初めて読んで、とても胸を打たれました。 両親との幸せな子供時代を過ごした更紗は、父親を癌でなくし、間もなく母にも出ていかれてしまい、... -
読感
自分らしく生きることを押される『六十歳からの人生』(曽野綾子)
いつも本音ではっきりモノを言ってくれるこの作家が、91歳になられてどんなアドバイスをくださるかな、と思って読みました。()内は、私の現状です。 *身辺整理をする。体力のあるうちに捨てたり片づけたりする。(まだ捨てられない物が多いです) *老人... -
読感
画学生たちの青春『ピカソになれない私たち』(一色さゆり)
東京・上野にある国立美術大学の森本ゼミ。4人の学生が「自画像」という課題の絵を描き、教授の評を受けています。森本教授は、ハラスメントで訴えられそうな、厳しく相手をやっつける言葉を投げます。 猪上詩乃:両親ともこの大学を出た画家です。彼女は... -
読感
幸せにはさまざまなタイプがある『瞳のなかの幸福』(小手鞠るい)
妃斗美は35歳で独り者。小さな雑誌社の副編集長です。仕事は面白くてやりがいがあります。けれど…休暇で実家に帰ると、母は「貯金をしておきなさいよ。・・・いい人はいないの?」と言い、弟は「40、50になっても女が独身でいるなんて、化け物だ」と言いま... -
読感
サスペンスタッチの凄まじい話『雪の鉄樹』(遠田潤子)
*私はサスペンス小説は、ほとんど読みません。怖い話が嫌いな臆病者ということもありますが、人が殺められるのが嫌なのです。この小説は、植木職人が主人公というところに引かれて読み始めましたら・・・まさにサスペンスです。どうしようと思う間もなく... -
見聞録
黒沢明監督『生きる』のイギリス版『生きる Living』
*これは日系イギリス人の作家、カズオ・イシグロが熱意をもって脚本を書いた作品です。黒沢の映画で唯一印象に残っているシーンは主役の志村喬がブランコに揺られながら♪命短かし恋せよ乙女♪を歌うところです。それほど昔の映画を戦後のロンドンを舞台に... -
読感
小学5年生の、出発点だった夏休み『しずかな日々』(椰月美智子)
枝田光輝は、働く母と2人暮らしの小学5年生です。家事はまあまあ手伝えますが、勉強はダメ、運動もダメで、友達もいません。ところが5年生になったクラスで押野に初めて声をかけられて、友達になりました。押野は明るくてお調子者の人気者で、光輝とは真...
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