2023年6月– date –
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読感
痛々しい戦後日本のある家族の話『さよならは祈り 二階の女とカスタードプリン』(渡辺淳子)
*平成27年の話と昭和26年から41年までの話が交互に出てきます。その形でここに記すのは難しいので、初めと終わりだけ記します。 ・昭和26年10月、服部家は進駐軍キャンプ大津A近くの長屋に住んでいました。父は日雇い労働者、母は足が悪く、子どもは、... -
好日
広々と伸びやかな『相模原公園』
梅雨は明けたけれど日差しのない日、小田急線・相模大野駅からバスで20分ほどの相模原公園へ来ました。大木も茂る広々とした気持ちのよい公園です。目当てはアジサイ。ごく普通の薄紫のから真っ白くて丸いアナベルまで、たくさん咲いていました。ウィーク... -
読感
本を読み、まっすぐ歩くきっかけをくれた老婦人との交流『サキの忘れ物』(津村記久子)
*9つの短編小説から成る本です。その中から2つの作品を記します。 サキの忘れ物 千春は病院に併設している喫茶店で働く18歳の少女です。勉強はできず、夢中になれるものもなく、高校をやめました。そこへ、平日は毎日夜の8時に来て閉店の9時まで本を読ん... -
読感
人々の揺れ動く心の内を描いた『彼女が天使でなくなる日』(寺地はるな)
・千尋は、星母島で育ててくれた政子さんのやっていた民宿を切り盛りしています。15歳までこの九州北部の人口300人の島で育ち、その後本土へ行って高校を出て、福岡県内の保育園で2年勤めていました。去年、大阪で料理人をしていた麦生を連れて帰ってきて... -
読感
手紙を出すことで前に進める『水曜日の手紙』(森沢明夫)
井村直美:高校の同級生の伊織とお茶をしながら、相手の境遇に嫉妬をします。羽振りのいい旦那さん、好きな天然石を使った手作りアクセサリーのお店を経営して、華やかな友人たちがいる。それに比べて自分の夫は、親から引き継いだつぶれそうな工場で体を...
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