読感– category –
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英訳で読む芭蕉の俳句の世界『松尾芭蕉を旅する』(ピーター・J・マクミラン)
この訳者マクミランさんは、朝日新聞に連載している「星の林に」で日本の詩歌を英訳しています。私はそれをずっと読んでいるファンなので、この本が出てすぐに買いました。 芭蕉の俳句も大好きで、このブログの最初にも書いたように、『奥の細道』への旅も... -
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さりげなくて美味しそうな料理の『真夜中の栗』(小川糸)
ベルリンに滞在中の日記エッセイです。この作家の作品には度々美味しそうな料理が登場します。本人が料理好きな方だと分かりました。 まずパンケーキ。ささっと焼いて、バターとメープルシロップで。焼いた本人が、ホテルにいるみたいと、うっとりしていま... -
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愛にあふれた『愛なき世界』(三浦しをん)
T大としているけれど、これは本郷の東京大学・大学院理学系研究科生物科学専攻の面々に、作者が綿密に取材した結果の話でしょう。 登場するのはいつも黒い服を着た殺し屋のように見える松田教授(男)、助教の川井(男)、ポスドクの岩間(女)、院生の本村(女... -
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社長は大嵐に遭う『海が見える家 続編&続々編』(はらだみずき)
姉の宏美は、1つの部屋に凪子の流木オブジェや貝細工を置き、売り始めました。そして館山駅近くのスナックで働き始め、ついに都会へ戻って行ってしまいました。 1人になった文哉は、暮れから正月に体調を崩して寝込み、これからどうするか考えました。別荘... -
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好きなことをして暮らせ!『海が見える家』(はらだみずき)
緒方文哉は就職1ヶ月で会社を辞めます。ブラック企業だと気づいたので。その矢先に、見知らぬ男から電話で父の死を知らされます。 父は離婚してから、小2年の文哉と小5年の姉・宏美を育て上げ、2人が独立してから千葉・南房総に引っ越していました。2... -
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楕円形のエッセイ集『聡乃学習(サトスナワチワザヲナラウ)』(小林聡美)
私はフィンランドで撮られた「かもめ食堂」を見て以来の聡美さんファンである。 その後テレビでは時折りお目に掛かるものの、エッセイを書いていらっしゃるとは知りませんでした。(迂闊っ!) 家庭画報で、フィンランド大使になられたとフィンランドを紹... -
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大阪弁で綴られる『渦』(大島真寿美)
ずっと以前にこの作家の『ピエタ』を読んだ時、ベネチアの雰囲気が色濃く出ていて、ベネチアに住んでいる方かと思ったほどでした。 『渦』は2019年に直木賞を受賞しています。 主人公の穗積まってしまいました。 以貫は彼に近松門左衛門の硯をもたせて京へ... -
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それぞれの土地と人々が魅力『青空と逃げる』(辻村深月)
この人気作家の著作を読みたくて、あれこれ探していたら、私が行ったことのない土地の出てくるこの本に目が止まりました。 高知県の四万十川。 でも物語は旅などというのんきな話ではなく、主人公の早苗は、舞台俳優をしている夫が人気女優と一緒に乗った... -
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本の行商人たちについて調べた『モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋の物語』(内田洋子)
著者は時事報道に携わるベネチア在住の方。資料を探しに訪れた路地奥の古書店で、店主とその父親から数代前までの祖先はモンテレッジォという山の上の村から古本の行商に出ていたと聞きます。 その町に行ってみたくなり、町の広報活動している中年男性と若... -
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本好きの背中を押してくれる『読書からはじまる』 (長田弘)
私は子どもの頃から本が好きでした。本の手触りも、本を読んでいる時間もとても楽しかったです。「本ばかり読んでいて・・・」と母には小言を言われましたが。 何十年も経ってこの本に出合い、「私の味方がいた!本が好きで良かった!」と本当に嬉しかったで...