漂泊の歌詠み『西行』特別展(五島美術館)

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西行展1

紅葉が始まった11月の下旬に、上野毛の五島美術館へ出かけました。駅から7分ほど、由緒正しい雰囲気でした。

私が西行に引き付けられたのは、学生時代に習った和歌です。「願わくは花のしたにて春しなむ その如月の望月のころ」。桜の花が大好きだった私の心にぴったりきました。60代になって、やはり好きな芭蕉翁の「奥の細道」を辿る旅をしたとき、翁が西行に憧れていたことを知りました。二重の喜びでした。

西行は1118年に武家に生まれ、名は佐藤義清。鳥羽院下の北面の武士も務めたのに、23歳の時に出家しました。30歳の頃から2年かけて奥州への旅をしています。そして詠んだ歌のように1190年、桜の木の下で入寂しました。

この展覧会は、西行の国宝の書から西行の姿を描いた絵まで、二部屋にわたって展示されていました。文字は流れるように美しく、読み解けないものの、素晴らしいと感じました。「西行物語絵巻」は楽しく拝見できました。娘に出家を勧めている絵には、父親の情が見えました。

西行展2

美術館を出て、お庭の上の部分だけ散策しました。モミジが色づき、メタセコイアが黄茶色に輝いています。高台からの眺めは小高い丘の上に立ったようにせいせいとしたものでした。会舘を出たところにも鮮やかな紅葉がありました。

西行展3

東京育ちなのに初めて訪れた五島美術館は、美しい所でした。

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