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読感
ミステリーなのに誰も死なない『春にして君を離れ』(アガサ・クリスティー)
ここでは殺人事件は起きません。サスペンスではなく、家族の物語です。それなのにミステリアスで引きこまれていくところは、さすがアガサ女史です。そして聖書が下敷きにあるところも。 主人公はイギリス・クレイミンスターに住む裕福な45歳の主婦です。自... -
読感
ゴッホの時代にタイムスリップ『たゆたえども沈まず』(原田マハ)
ゴッホの絵の好きな者にとっては、ワクワク・ドキドキしてから切なさが余韻として残る小説です。 1886年のパリから始まりますが、最初に登場するのは創作された人物、加納重吉です。彼は日本人美術商の林忠正の元で働こうとしてやってきた日本人の若者。実... -
見聞録
マスクの『メサイア』(ヘンデル作曲)
馴染み深く大好きなオラトリオなのに、生演奏を聴くのは久しぶりでした。日暮れの早くなった日の午後、昭和音大の大ホールへいそいそと出かけました。 まだコロナ禍の収まらない時期ゆえ、様々な対策が取られていました。合唱・オーケストラ共、昭和音大の... -
見聞録
父親が3人もいる『そして、バトンは渡された』
これは原作になった小説も読んでいて、そういう場合はイメージと違ってがっかりすることがあります。ところがこの話は、映画の方が納得しました。 内容は、なんてとんでもない!という現実離れした話です。それなのに、感動しました。 優子という女の子に... -
好日
買い置きしたい『昼食のお助け品』
我が家は夫と2人暮らしです。元気でいたいので食事には気を配っています。 朝食は食パン、紅茶、ジュース、ヨーグルト、季節の果物が基本です。それにゆで卵やチーズやサラダが交互に付きます。 昼食は麺類。うどん、そば、ラーメン、焼きそば、スパゲッ... -
好日
我が家で『みかん狩り』
我が家の庭には、50cm位の若木を植えてから20年余りのみかんの木があります。今では1m50cmほどになりました。 10年ぐらいまでは実が生るものの、とても食べられませんでした。その後は皮ばかり厚いもの、味のないまずいもの、酸っぱいもの…と次第に... -
好日
都会で珍しい『メグスリノキ』
目薬の木は、本来は山に生える落葉高木です。大きめの葉が3枚、濃いピンク色に紅葉する美しい木です。 初めて見たのは30年ぐらい前、高尾山でした。1号路を登って行くと、中間ぐらいに金毘羅宮のある小さな広場(?)に出ます。一汗かいて休憩をしている時... -
読感
芭蕉の俳句人気投票『松尾芭蕉この一句』(有馬朗人・宇多喜代子監修 柳川彰治編者)
この本には現役俳人312名の投票による芭蕉の俳句のランキングとその句の鑑賞文が載っています。ランク付けの根拠は、 最も好きな俳句一句それ以外で好きな句を最多十句 として募集した作品の中から人気順に157句を選び、読者には最下位から読ませるように... -
見聞録
芭蕉ファン必見『芭蕉』展
目白にある永青文庫に『芭蕉』展を観に行きました。地図を片手に静かな住宅街を探しながら行くと、うっそうとした古木の生い立つ一角に「永青文庫」という門を見つけました。 江戸時代は肥後藩主細川家の下屋敷だったそうです。きれいな砂利道の奥に、こじ... -
読感
鎌倉でお悩み解決『鎌倉うずまき案内所』(青山美智子)
この小説は、ファンタジックなところのある不思議な物語です。読み終わってすぐにもう一度読み返したくなります。友人は最初から再読したそうですが、私は最後の話から読み返しました。 2019年から6年ずつ遡っていく6つの物語です。 毎回、主人公は異なり...