馴染み深く大好きなオラトリオなのに、生演奏を聴くのは久しぶりでした。日暮れの早くなった日の午後、昭和音大の大ホールへいそいそと出かけました。
まだコロナ禍の収まらない時期ゆえ、様々な対策が取られていました。合唱・オーケストラ共、昭和音大の学生さんに卒業生も数人加わっていました。ステージ上に並んだ若者たちはマスク姿でした。ソリストさんたちは、もちろん素顔のままで。指揮者とコンサートマスターは、握手の代わりに肘の付け合い。見慣れた光景になりました。
このオラトリオは、ヘンデル56歳の時の作品です。その頃健康面でも経済的にもどん底にあったヘンデルに、友人の司祭が聖句による歌詞で救世主の生涯を書き、ヘンデルに作曲を依頼しました。
ヘンデルは感動し、3週間ほどで一気に書き上げ、すっかり元気になったと言われています。彼のその感動が伝わってくるような生き生きとしたメロディーが随所に登場します。
マスクのコーラスはどうかしら?と心配しましたが、ソプラノと男声はよく響いていました。アルトだけが女声低音なのでくぐもってしまって、気の毒でした。
ソリストさん達も含め、若々しい透明な声で、とても気持ちよく聴けました。英語の早口言葉のような歌詞の部分も歯切れ良く、さすがに音大生は訓練されていると、感心しました。
その1曲が突出して有名な「ハレルヤ!」は勢いと輝きがあって、素晴らしかったです。イギリスではロンドンで初演の時、国王ジョージ2世が起立なさったということで聴衆も立ち上がるという伝統があるそうですが、この日も数人の方が立っていました。
終盤近く死者の復活を告げる場面で、トランペットの輝かしい吹奏があります。男性奏者のことが多いのですが、このステージでは小柄な愛らしく見える女性3人が威勢良く吹き鳴らしてくれました。
最後のアーメンコーラスでは、自分が舞台に立った時も涙がこぼれて困りましたが、この日も客席でハンカチを目に当てっぱなしでした。感動的な最終章です。
アンコールの拍手が鳴り止まず、再び「ハレルヤ!」を聴くことができ、大満足の演奏会でした♪
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