読感– category –
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憧れの店『わたしの小さな古本屋』(田中美穗)
この古本屋さんは、岡山県倉敷市の有名な大原美術館をもっと先に進んだ当たりにあるそうです。 景観保全地区にある町家で2000年から営業しています。最初は別の場所で始めたそうですが、資金100万円で21歳の若い女性が・・・偉いです! 土地柄、地元の常連さ... -
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毎朝の楽しみだった『また会う日まで』(池澤夏樹)
2年前の8月1日から朝日新聞朝刊で始まった小説が、今日(2022年1月31日)で終わってしまいました。毎朝、楽しみにして読んでいたので、寂しくなります。間もなく単行本になるだろうとは思いますが・・・。 主人公は実在の人物・秋吉利雄。作者の父方の祖母... -
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若者の成長物語『生きるぼくら』(原田マハ)
主人公は、麻生太郎。母と2人で古いアパートに暮らす24歳、無職。朝から夜中まで働く母とは顔を合わせません。 高校2年の時、酷いいじめに遭い、中退。アルバイトもうまくいかず、家に引きこもり4年。寝ているかパソコンをいじっているか・・・。 そんなあ... -
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行けない旅を代行してくれる『旅屋おかえり』(原田マハ)
この本の主人公・岡本恵理子は、タレント名・丘えりか。彼女の故郷は、日本最北端の島・礼文島。私は行ったことありますが、夏の花々の美しい漁師達の島でした。恵理子の実家も父親が漁師でした。 彼女は修学旅行で東京へ行った時、芸能プロダクションの社... -
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ストーリーテラーの傑作『田園発 港行き自転車』(宮本輝)
舞台は富山県。この作者は北日本新聞から連載小説を頼まれて、取材に富山に行った時のことを、エッセイに記しています。 立山連峰から流れ落ちる冷たい急流の黒部川の畔で入善町の稲穂が揺れる広大な畑を見た時、この小説の構想が湧いたそうです。 登場人... -
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サポーター達が眩しい『雪と珊瑚』(梨木香歩)
お正月にうっすらですが雪が降ったので、この本を思い出しました。でも降る雪とは関係なく、赤ちゃんの名前で、珊瑚がその母親の名前です。 21歳の珊瑚は育った家庭に恵まれず、高校を中退してパン屋でアルバイトをします。結婚した同い年の夫とは1年足ら... -
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学ぶことたくさんの『すばらしい新世界』(池澤夏樹)
主人公の林太郎は電力会社で風車を設計・設置しているエンジニア。ヒマラヤ奧地の小さな村に乞われて風車を立てに行くことになります。 まずは下見に。カトマンズの空港に出迎えてくれたのは、現地での通訳・ラム君。日本語が巧みな好青年です。彼のお陰で... -
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寂しい50代の清純な恋『モンローが死んだ日』(小池真理子)
軽井沢に1人で住む鏡子は、夫を亡くしてから精神状態がおかしくなり、精神科を受診します。そこで出会った同年代の医師の優しさのこもる受容に、次第に癒やされて行きます。 医師が、鏡子の勤める作家の記念館を訪ねて来た日以来2人は親しくなり、横浜か... -
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デパ地下が楽しい『和菓子のアン』(坂木司)
主人公は、梅本杏子(通称アンちゃん)。高校を卒業したばかりの18歳。身長150cm、体重57kg。彼女の目線からの語りが軽妙で分かり易く、とても楽しく読んでいける小説です。 杏子は大学には行きたくないし、専門学校へ行くほど興味のあることもないため、... -
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ミステリーなのに誰も死なない『春にして君を離れ』(アガサ・クリスティー)
ここでは殺人事件は起きません。サスペンスではなく、家族の物語です。それなのにミステリアスで引きこまれていくところは、さすがアガサ女史です。そして聖書が下敷きにあるところも。 主人公はイギリス・クレイミンスターに住む裕福な45歳の主婦です。自...