お正月にうっすらですが雪が降ったので、この本を思い出しました。でも降る雪とは関係なく、赤ちゃんの名前で、珊瑚がその母親の名前です。
21歳の珊瑚は育った家庭に恵まれず、高校を中退してパン屋でアルバイトをします。結婚した同い年の夫とは1年足らずで別れ、1人で雪を育てています。
働かなければならないので、保育所を探していると、住宅街の昔風の古びた一戸建ての家に「赤ちゃん、お預かりします」という張り紙を見つけました。
その家のくららさん(64歳)は心優しい人です。実はヨーロッパの修道院で暮らしたこともある元修道女で、聖フランシスコゆかりのクララから名前をもらっています。
雪を預けますが、孤独な珊瑚の支えにもなってくれます。ヨーロッパ暮らしで身につけたお料理が、とても美味しそうです。
珊瑚は元働いていたパン屋さんに復帰します。そこで、アレルギーのある子どもの食べ物について考えさせられ、安全で美味しいお総菜を売るお店を持ちたいという夢を持ちます。
この物語では、実のバアバのようなくららさん、同じアパートで姉妹のように親しくしてくれる助産師の那美さん、アルバイト仲間の大学生・由岐さんの支えで、無事に生きていけています。
そういう温かい支え手と出会えなくて、惨めな暮らしを強いられたり、犯罪にまで巻き込まれたりする例を新聞で目にすると、切ないです。
珊瑚の奮闘と周囲の人々のサポートで、無事にカフェ&総菜屋を開くことができます。
母と子の問題、学校カウンセラーの役割、無農薬野菜の話等々、話題満載の物語ですが、雪ちゃんのたくましく可愛い成長ぶりに心が和みます。
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