パリの町を走りまわるうちに温かい友情で結ばれる『パリタクシー』

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パリタクシー

タクシー運転手のシャルルは、免許停止まであと2点。お金もなく、兄に借金を申し込むも、冷たく断られます。そんな時に迎えに行くように頼まれた家が、閉まっています。後ろから声をかけられて振り向くと、きちんとした身なりの高齢の女性が呼んでいます。彼女の名前は、マドレーヌ。人懐こく話しかけてきます。不愛想なシャルルも少しずつ気持ちがほぐれていきます。

目的地はパリ市内の外れにある老人施設。ところがそこへ行く間に、度々彼女の思い出の地に立ち寄らされます。最初に立ち寄ったのはヴァンセンヌ。アメリカ兵のマットと恋に落ちて、ファーストキスをした甘い思い出のある場所。けれど彼はアメリカに帰り、彼女は男の子を産み、マチュウと名付け、育てます。

次は街角にある碑の前。ナチスに銃殺された父親の名が刻まれています。パルマンティエ大道りは、母が衣装係として働いていた劇場で、彼女はアシスタントをしていました。母には息子の世話を頼んだり助けてもらいました。

この辺りから、シャルルはこの老婦人の話に引き込まれるようになり、温かい目で見るようになります。

あるビルの前では、建て替わる前の小さな建物で夫のレイと7歳になったマシュウと住んでいた話をします。夫は他人の子であるマシュウを嫌います。酒を飲んではマドレーヌに暴力を振るうようになります。ある日、レイがマシュウを「私生児」とののしって殴ったので、ある決心をします。結果は殺人未遂で22年間の刑務所生活をさせられます。シャルルも「22年は長すぎる」と同情します。

もうすぐ施設に着くという夜、シャルルはレストランでご馳走します。エビやカニのついた大ご馳走です。二人の間では、すっかり温かい友情が育っていました。そして施設に送り届け、その後、妻と娘を伴って訪ねると・・・。

*これからご覧になる方のために最後のシーンは書きませんが、時代に抗って頑張って生きてきた老婦人と今の時代の苦しさを味わっているタクシー運転手の友情が温かく、パリの美しい街と相まって、心に沁みる映画です。

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