主人公の林太郎は電力会社で風車を設計・設置しているエンジニア。ヒマラヤ奧地の小さな村に乞われて風車を立てに行くことになります。
まずは下見に。カトマンズの空港に出迎えてくれたのは、現地での通訳・ラム君。日本語が巧みな好青年です。彼のお陰で辛い旅も楽しくなります。
まず小さな飛行機で標高2,700mの村へ。ヒマラヤの山々が迫ってくる眺めの凄さに圧倒されます。その地で農業指導の実績のある工藤先生と仲間達に歓迎されます。70代の先生は人望の厚い人物です。先生の途上国の援助に対する信念は、経験に裏付けられていて深いです。
「機械だけ設置して終わりではダメ。正しい使い方を教え、壊れた時の修理の仕方も指導してこないと無用の長物になる。日本人が持参して評判が良かった物の1つは、洗濯板。女性達の労力を軽くした。林檎の木も植えてきただけではダメ。肥料のやり方、剪定の仕方を丁寧に教えてこないと、美味しい売れる林檎はならない」
工藤先生はこの地に池を作ってニジマスを養殖しています。栄養状態の悪い村の人々に蛋白質を供給しているので、本当の人助けです。
(アフガニスタンで活動なさり犠牲になった中村医師を重ねてしまいました。立派な業績を残されたのに・・・無念でした)
その地から再び小型飛行機で飛び、降りた村からは遙か下を谷川が流れる崖の道を馬で登り、チベットに近い標高4,000mの小さな村に着きます。
林太郎は、まずデータを取るための装置を設置します。一旦帰国して試作品を作り続け、納得のいく製品が出来上がってから、再びその村へ赴きます。今度も通訳はラム君です。
風車を設置するサポートは、日本人1人と現地の若者3人。5人のチームワークで、小型でしなやかな風車が立ちました! 電気のお陰で、谷川から水を汲み上げて潅漑用水に溜め、農業もでき林檎の木も育てられるようになります。
しかも林太郎は村人の有志に機械の扱い方を基本から丁寧に教えました。
後半は宗教の話、小学5年生の息子が1人で迎えにやってくる話等々、面白い物語が綴られます。
コメント