元気いっぱいの少女の物語「成瀬は天下を取りにいく」(宮島未奈)

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成瀬は天下を取りに行く

「ありがとう西武大津店」:成瀬は子どものころから何でもできて、やりたいことをやり遂げる元気な子供です。中学2年になった今でもマイペースで生きています。この夏休みを西武に捧げる、と断言しました。8月31日に44年の歴史に幕を下ろす西武大津店のために。

友人の島崎は、ローカル放送の中継が始まる8月3日の夕方からテレビの前に座ります。写し出されたのは西武の入り口とそこに立っている成瀬です。西武ライオンズのユニホームを着て、マスクをしています。手にはプラスチックのミニバットを握っています。

島崎も誘われて、同じユニホームを着て「ありがとう西武大津店」と書いたマスクをして立ちました。知らないおばさんが、青い野球帽をくれました。8月25日からは部活が始まったので、録画してみました。夜、成瀬が訪ねてきて「新聞に載った」とおうみ日報を見せてくれました。

8月30日に母と西武大津店に買い物に行くと、すごく賑わっています。「いつもこうならつぶれなかったのにね」と、母は残念そうに言いました。

最終日の朝、成瀬は「おばあちゃんが死んだから彦根にいく」と行ってしまいました。島崎は代わりにライオンズの制服を着て、マスクをして立ちました。「1か月お疲れ様でした」と言って西武のタオルをくれたおばあちゃんや、「いつもの子と違う」というおじいちゃんがいました。

終了間際に、成瀬は駆け込んできました。「将来、私が大津にデパートを建てる」と宣言しました。

*その他、この2人が漫才をする話、成瀬が競技カルタに打ち込む話、男の子に恋される話など楽しい話が続きます。

著:宮島未奈
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