田路宏昌は社会科の教師です。教師になって6年、高校3年のクラス担任もしています。生徒からは、ボーッとしていてやる気がなさそうと思われています。
履歴は、地元の国立大学卒。今も一緒に呑む友人もいますし、優秀で一度の試験で弁護士になった彼女もいます。
第一話:校庭の目立たない場所にある草ぼうぼうの花壇のところで、花谷亜由が涙でぐちゃぐちゃになった顔をしています。こっそり煙草を吸いに来た田路に見つかります。真面目な亜由が授業を休んだことで、田路は他の生徒から理由を聞き出します。付き合っていた同級生が別の女子と付き合い始めて、それを見せつけられるのが辛いと。
別の女の子とつきあい始めた男子にも理由がありました。亜由の方が成績もよく、一般入試でも良い大学に受かりそうなので、引け目を感じると。
そんなある日、田路は野球部からもらいうけたというペンキの剥げかけた赤いベンチを運んできて、置きます。そして「花谷、どうしても許せなかったら復習しろ」と言います。亜由は彼の嫌いなオランダキジカクシ(アスパラガス)の種を蒔きました。「3年後に食べられます」と言って卒業して行きます。
このキジカクシの畑を中心に2年後、3年後の生徒たちの物語もあり、田路の恋路も進んで行きます。物語の最後は、めでたし!です。
これは、メデイアワークス文学賞で電撃大賞を取った著者の最初の作品です。文章が上手くて一気に読めましたし、ストーリーも面白かったです。
「きじかくし」がアスパラガスのことと、初めて知りました。育つと雉も隠すほど葉が茂るからですね!
青春小説を読むと、気持ちが若返ります。著者のこれからの活躍を祈ります。
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