2022年– date –
-
見聞録
悲劇的状況を喜劇的に表わした「川っペり ムコリッタ」(萩上直子監督)
富山県の日本海に面した漁港。イカがたくさん獲れます。山田(松山ケンイチ)はそこの塩辛工場で働き始めます。 工場長(緒方直人)の口利きで、川べりの古い木造長屋を紹介されます。 ある日、隣の住人・島田(ムロツヨシ)が風呂を貸してほしいと、無理... -
読感
17歳の少女のひと夏の出来事『悲しみよ こんにちは』(F.サガン 翻訳者:朝吹登美子)
この小説を読んだのは女子大生の時でした。真面目な私にはピンとこない話で、心に残らずすっかり忘れていました。 今回改めて読んで、18歳でこの物語でデビューしたサガンの才能に感服しました。 セシルは17歳で、父とその愛人のエルザと一緒に地中海に面... -
好日
懐かしい味『禅寺丸柿』
今年は禅寺丸柿を手に入れられました。この柿は町中の八百屋さんでしか売っていないので、すぐに売り切れてしまいます。 小ぶりな実は、果肉に霜降りが入って種がたくさんあります。甘味は少なくてさっぱりしています。懐かしい味です。 私の実家は東京都... -
読感
何でも好転させるおばぁちゃん『ひかりの魔女』(山本甲士)
85歳のおばぁちゃんが光一の家族と一緒に住むことになります。長男と暮らしていたのですが、彼が亡くなって一人になってしまったのです。もともとこの家はおばぁちゃんの家で、25年前まではここに住んで書道教室を開いていました。 やってきたおばぁちゃん... -
読感
昭和の大女優と若者の情愛『ミス・サンシャイン』(吉田修一)
岡田一心は大学院生です。ゼミの教授からアルバイトを紹介されます。「力のある男の学生を」と頼まれて、ちょうどバイト先が無くなったところの一心は引き受けます。 相手は昭和の大女優・和楽京子。本名石田鈴。現在は80代。尋ねた先は北の丸公園に近い立... -
好日
ランチだけでも気が晴れた日
久しぶりに文化村のミュージアムに出かけましたら、なんと!?展示は土曜日からでした(^^) お昼はいつものように、デユマゴのランチ。庭のパラソルの下に座りました。ニワトコの木は葉の先が紅葉を始めています。花々も季節で変わっていて、ルドベキアが... -
読感
若者たちを支えて育てる『三十光年の星たち』(宮本輝)
京都の路地の小さな貸家の並ぶその一軒に住む坪木仁志は30歳。子供の時から父に疎まれていました。まじめな兄は医師になり、弟は公務員になります。仁志は私立大学では勉強せずに落語ばかり聞いていて、卒業してからも一つの仕事が長続きせず、120万円の借... -
読感
青春時代と冒険の私小説『そらをみてますないてます』(椎名誠)
冒険家で遊びが得意な大人、という印象の作家の青春時代の物語と冒険旅行の物語が交互に語られています。真似はできないので、青春時代を先にまとめて書きます。 19歳の彼は、レストランの地下で夜中に食器洗いをするアルバイトをしています。朝の3時半に... -
読感
サーカスの凄さと少年の成長物語『サーカスの夜に』(小川糸)
少年は両親が離婚して、グランマに育ててもらいました。粗末なアパートの1階がタバコ屋で、その屋根裏部屋で暮らしました。彼は13歳ですが、外見は10歳ぐらいで、子供の時の大病のために大きくなれないと言われました。 ある日、目にしたレインボーサーカ... -
読感
ウィルス蔓延の現在の先取り『バベル』(福田和代)
表題に引かれて買って、読み始めて驚きました。コロナウィルス蔓延の現在の先取りのような、現在よりもっと怖い話でした。 如月優希は駆け出しの小説家、蕎麦屋と喫茶店のアルバイトをしながら暮らしています。ある日、一緒に暮らす美大生の渉がウィルス性...