5階まであるマンションの屋上には、手を掛けた庭があり、その先には小さな神社があります。縁切りの神様とも言われています。
この神社の持ち主で宮司、翻訳者でもある40代の統理には引き取った7歳の娘・百音がいます。別れた妻が再婚してできた娘ですが、両親が事故で亡くなったため、引き取りました。
2人の朝食は、同じマンションに住む路有がやって来て作り、一緒に食べます。和やかです。
朝食が済むと百音は小学校へ、統理は仕事に励み、夜の仕事の路有は自分の部屋へ帰って寝ます。
百音は明るい子で、分からないことや困ったことがあると、何でも統理に聴きます。「笑顔で見下したり、心配顔でおもしろがる人もいるからね。でもぼくは百音が大好きだよ」と抱きしめます。とても上手くいっているのに、周りにはこの義理の父娘を心配するお節介な人達がいるのです。
路有は39歳。バンにお酒を積んで、移動バーをやっています。ゲイですが相手にふられて、今は独り身です。気持ちの優しい人です。
縁切り神社には様々な人が来て、切りたい縁を形代に書いてお賽銭箱入れます。それを統理がお祓いします。
40歳の桃子さんもこのマンションの住人です。病院で事務の仕事をしていますが、お局さん扱い。その上、家では母親が「親はいつまでも生きていないのよ」と心配して、お見合いの話を持ってきます。彼女には高校時代に付き合っていた恋人がいました。バイクの事故で亡くなりましたが、どうしても忘れられません。
その彼氏の弟・基君は準大手ゼネコンに勤めていた時、働かされ過ぎて鬱病になり、それ以来引きこもり状態。兄の恋人だった桃子さんと知り合い、2人は統理・路有・百音の3人と知り合います。
何かを抱えた人たちがゆるく楽しくくらせるには?さまざまな示唆を汲み取れる話です。
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