読感– category –
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手紙を出すことで前に進める『水曜日の手紙』(森沢明夫)
井村直美:高校の同級生の伊織とお茶をしながら、相手の境遇に嫉妬をします。羽振りのいい旦那さん、好きな天然石を使った手作りアクセサリーのお店を経営して、華やかな友人たちがいる。それに比べて自分の夫は、親から引き継いだつぶれそうな工場で体を... -
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そうね、そうね、と同感できる『できない相談』(森絵都)
*40編の中から5編、選びました。 「コンビニの母」:和也の勤め先のビルの一階に、コンビニがあります。目まぐるしくスタッフが入れ替わります。そんなある日、コンビニに入ると雰囲気が違います。前方のレジからドラえもんばりのドラ声が響いてきます。... -
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さまざまな事情の人々のくつろぐ場所『院内カフェ』(中島たい子)
総合病院の一階ロビー横にあるカフェ。そこで、まだ売れていない作家の30代の相田亮子は、アルバイトしています。同僚の20代の村上君が、コーヒーを作る専門です。様々なお客様が来ますが、常連もいます。 うるめいわし:目がイワシの目のよう。いつも決ま... -
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働く30代女性の大家さんとのご近所付き合い『待ち遠しい』(柴崎友香)
*この著者は、住んでいる家のことや周りの雰囲気を描くのが上手ですね。その上この本は、大家さんとその親族との付き合いやそれぞれの人となりがよく描かれています。 北川春子は29歳で実家を出てから、一人暮らしをして10年目です。やっと気に入った家を... -
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人気作家のこれまでと日常生活エッセイ『図書室で暮らしたい』(辻村深月)
*私も図書室で暮らしたいほど本が好きでしたが、私の子ども時代からの愛読書はほとんど外国の作家の作品でした。辻村さんの愛読書は、ほとんど日本の作家の作品です。だからサイン会にも行けたのだなーと思いました。 辻村深月さんは、1980年に山梨県... -
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事実と真実はちがう『流浪の月』(凪良ゆう)
*人気作家・凪良ゆうさんの3年前の本屋大賞受賞作です。映画にもなったので、ご存じの方が多いでしょうが、私は初めて読んで、とても胸を打たれました。 両親との幸せな子供時代を過ごした更紗は、父親を癌でなくし、間もなく母にも出ていかれてしまい、... -
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自分らしく生きることを押される『六十歳からの人生』(曽野綾子)
いつも本音ではっきりモノを言ってくれるこの作家が、91歳になられてどんなアドバイスをくださるかな、と思って読みました。()内は、私の現状です。 *身辺整理をする。体力のあるうちに捨てたり片づけたりする。(まだ捨てられない物が多いです) *老人... -
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画学生たちの青春『ピカソになれない私たち』(一色さゆり)
東京・上野にある国立美術大学の森本ゼミ。4人の学生が「自画像」という課題の絵を描き、教授の評を受けています。森本教授は、ハラスメントで訴えられそうな、厳しく相手をやっつける言葉を投げます。 猪上詩乃:両親ともこの大学を出た画家です。彼女は... -
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幸せにはさまざまなタイプがある『瞳のなかの幸福』(小手鞠るい)
妃斗美は35歳で独り者。小さな雑誌社の副編集長です。仕事は面白くてやりがいがあります。けれど…休暇で実家に帰ると、母は「貯金をしておきなさいよ。・・・いい人はいないの?」と言い、弟は「40、50になっても女が独身でいるなんて、化け物だ」と言いま... -
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サスペンスタッチの凄まじい話『雪の鉄樹』(遠田潤子)
*私はサスペンス小説は、ほとんど読みません。怖い話が嫌いな臆病者ということもありますが、人が殺められるのが嫌なのです。この小説は、植木職人が主人公というところに引かれて読み始めましたら・・・まさにサスペンスです。どうしようと思う間もなく...