さまざまな事情の人々のくつろぐ場所『院内カフェ』(中島たい子)

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院内カフェ

総合病院の一階ロビー横にあるカフェ。そこで、まだ売れていない作家の30代の相田亮子は、アルバイトしています。同僚の20代の村上君が、コーヒーを作る専門です。様々なお客様が来ますが、常連もいます。

うるめいわし:目がイワシの目のよう。いつも決まったコーヒーを注文して、「ここのコーヒーは体にいい」と言いながら飲んでいます。最後の一口に水を加えて飲みます。泌尿器科にかかっていますが、食べ物・飲み物に気をつけるように言われます。コーヒーより紅茶の方がよいと。

菅谷優:泌尿器科の医師。カフェを飲みながら大声でスマホでしゃべっています。彼はロビーにあるカフェがなぜ診療時間と同じに始まるのか、と不満に思っています。30分早く始めてくれればいいのに・・・。祖父の代から医者の家庭で育ちました。カリフォルニアの大学病院で研修している時、3分間で的確な説明を患者にする女性医師に目が開かれました。相田さんからは「ゲジデント」と呼ばれています。

不機嫌な中年夫婦:向かい合ってしゃべっていたのに、妻が夫にコーヒーをぶち投げて、足音高く帰っていきました。村上君が急いでご主人の服を拭いたり、床の掃除をしたりします。妻の朝子は、両親の介護をして見送り、今度は腸の難病にかかった夫の世話をしています。しかし夫は言われた食事を守らず薬も飲みません。仕事にも出かけて行きます。うっ憤が溜まっていました。夫の孝昭は、自分のことを語るのが苦手です。食事のことを気にしすぎるのもストレスになって腸に良くないと思います。自由になりたいです。

村上君:風邪で一週間休んでいました。彼は静かに寝て直すのだそうです。死なない程度の熱ならば、薬を飲みません。体本来の機能を失わないために。

作家の佐伯先生と編集者:佐伯先生は乳がんで入院中。それでも執筆しています。尊敬します。凄腕編集者に相田さんは「潜入取材中でしょ?」と言われます。

相田航一:相田亮子の夫。酵母を使ってパンを焼いています。二人は子どもを欲しがっているのに、できません。自然にできることを望んでいます。彼女は自分が絶滅種だと悲観的になります。彼と知り合ったのは、彼の店のローフブレッドが気に入ってよく買っていたからです。二人とも地味どうしです。気は合っています。

クリスマス。匿名の方から一万円札が寄付されました。そこに居るお客様全員に好きな飲み物かお菓子をプレゼントします。村上君は大忙しです。相田さんも皆の注文を聞きまわっています。うるめいわし君はお湯を注文しました。温かく和やかなクリスマスでした。相田さんは迎えに来た夫の車に乗って帰り、依頼されていた童話を書き始めます。題名は、「うるうるおめめのちっちゃい恐竜」

*病院のカフェは、病んでいる人にとっても看病している人にとってもオアシスですね。この物語は、村上君と相田さんのコンビがいいです。

著:中島 たい子
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