読感– category –
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昭和の大女優と若者の情愛『ミス・サンシャイン』(吉田修一)
岡田一心は大学院生です。ゼミの教授からアルバイトを紹介されます。「力のある男の学生を」と頼まれて、ちょうどバイト先が無くなったところの一心は引き受けます。 相手は昭和の大女優・和楽京子。本名石田鈴。現在は80代。尋ねた先は北の丸公園に近い立... -
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若者たちを支えて育てる『三十光年の星たち』(宮本輝)
京都の路地の小さな貸家の並ぶその一軒に住む坪木仁志は30歳。子供の時から父に疎まれていました。まじめな兄は医師になり、弟は公務員になります。仁志は私立大学では勉強せずに落語ばかり聞いていて、卒業してからも一つの仕事が長続きせず、120万円の借... -
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青春時代と冒険の私小説『そらをみてますないてます』(椎名誠)
冒険家で遊びが得意な大人、という印象の作家の青春時代の物語と冒険旅行の物語が交互に語られています。真似はできないので、青春時代を先にまとめて書きます。 19歳の彼は、レストランの地下で夜中に食器洗いをするアルバイトをしています。朝の3時半に... -
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サーカスの凄さと少年の成長物語『サーカスの夜に』(小川糸)
少年は両親が離婚して、グランマに育ててもらいました。粗末なアパートの1階がタバコ屋で、その屋根裏部屋で暮らしました。彼は13歳ですが、外見は10歳ぐらいで、子供の時の大病のために大きくなれないと言われました。 ある日、目にしたレインボーサーカ... -
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ウィルス蔓延の現在の先取り『バベル』(福田和代)
表題に引かれて買って、読み始めて驚きました。コロナウィルス蔓延の現在の先取りのような、現在よりもっと怖い話でした。 如月優希は駆け出しの小説家、蕎麦屋と喫茶店のアルバイトをしながら暮らしています。ある日、一緒に暮らす美大生の渉がウィルス性... -
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15歳の少年の愛した女性は文盲の戦争犯罪人『朗読者』(ベルンハルト・シュリンク 松永美穂訳)
体調の悪かった15歳の僕は、バーンホフ通りで吐いてしまいました。その時にてきぱきと対処して家まで送ってくれた女性がいました。それがハンナ・シュミッツとの出会いです。 彼女はアパートの4階に住んでいて、市電の車掌をしている30代の女性でした。お... -
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人付き合いの大切さに気付かされる『傑作はまだ』(瀬尾まいこ)
加賀野正吉は大学4年の時に書いた小説で新人賞をもらい、それ以来作家として50歳まで暮らしています。 1人にしてはかなり広い家の一室にこもり、毎日パソコンに向かって文章を綴っています。人と接するのは編集者との打ち合わせのときのみで、近所付き合い... -
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国立西洋美術館ができるまで『美しき愚かものたちのタブロー』(原田マハ)
東京・上野駅を出てすぐにある国立西洋美術館。横長長方形のすっきりした建物はル・コルビジュエの設計です。門を入ると前の庭で、ロダンの「地獄門」「カレーの市民」「考える人」が迎えてくれます。美術館に入れば、常設展では松方コレクションが展示さ... -
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呼んでいる声がきこえますか?『52ヘルツのクジラたち』(町田そのこ)
大分県の海に面する丘の上の一軒家に越してきた三島キナコ。その町で虐待されているらしい少年と出会います。 キナコ自身が母と義父から虐待され、子ども時代から辛い苦しい状態で過ごしました。高校時代からの仲良しの晴美とその職場の友人アンさんが支え... -
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仲間からのアドバイスが効く『大事なことほど小声でささやく』(森沢明夫)
6編の短編から成る物語です。すべてに関わるのは「ゴンママ」と呼ばれる優しくて愉快な大男・権田です。 1.本田宗一 45歳のサラリーマン。高校生になった一人娘のことで悩んでいます。シェフになりたくてフランスに留学を希望しています。しかし父親と...