著者は時事報道に携わるベネチア在住の方。資料を探しに訪れた路地奥の古書店で、店主とその父親から数代前までの祖先はモンテレッジォという山の上の村から古本の行商に出ていたと聞きます。
その町に行ってみたくなり、町の広報活動している中年男性と若い女性の案内で、車で訪れます。2人とも自分たちの出自であるその町を廃れさせたくないために、この活動をしています。
そこはフィレンツェとローマの間あたりにある山岳地帯の標高651mの山の上。周りも全部山また山です。生い茂る木々は、ほとんど野生の栗。産物は栗と谷川に転がる石だけという村でした。
当時、男たちは古本の行商で生活を支えていました。私は一瞬、富山の薬売りの姿を思い浮かべましたが、石碑に残る姿は、ぎっしり詰めた本でいっぱいの籠を腕に下げている屈強の男性です。
5000mほど下には港があり、地中海へ開かれていて、山越えの拠点にもなっている村でした。
著者は、なぜ行商の露天商人がイタリア各地で本屋を開くようになったか、イタリアの歴史から出版史まで調べ上げています。
数ページごとにあるカラー写真が楽しいです。
現在は山の上の町に永住している人30余人。夏の季節には過ごしに来る子孫たちで200人余にふくれあがります。
また本祭りも開かれ、イタリア版本屋大賞も授与されます。この著者はこの本で第68回露天商賞を授与されました!外国人では初めてだそうです。
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