85歳のおばぁちゃんが光一の家族と一緒に住むことになります。長男と暮らしていたのですが、彼が亡くなって一人になってしまったのです。もともとこの家はおばぁちゃんの家で、25年前まではここに住んで書道教室を開いていました。
やってきたおばぁちゃんを見て、驚きます。忍者のような作務衣のような服装に白い手ぬぐいを姉さんかぶりしています。母も昼間は総菜屋で働き、妹は反抗的な中学生です。浪人中で家で勉強している光一が、おばぁちゃんのことを頼まれます。
おばぁちゃんは訪ねたい人がいると言って、光一も一緒に尋ねます。ホームセンターの店長さん、農家の男性、魚屋さんの女性・江口さん、道場も持っている空手の名手・白壁さん、製菓会社の役員の園部さん。そのいずれもがおばあちゃんとの再会を喜び、抱きしめ、それぞれお土産をくださいます。みんなおばあちゃんの書道教室の生徒で、自分が一番かわいがってもらったと思っています。
おばぁちゃんの日常生活は、朝、七輪にかけたお釜でご飯を炊きます。お昼にご馳走になりますが、その美味しいこと!母が洗濯機で回した洗濯物を干し、午後たたみます。夕方は何か不思議な体操をしています。立禅だと知りました。
光一の家は困ったことが起きていました。父は会社でリストラされそうで、母の働く総菜屋も立ちいかなくなっています。
ところがまず、おばぁちゃんの作る総菜が美味しいということで、江口さんからお魚を提供してもらい、イワシのぬかみそ炊きや甘露煮、漬物を小料理屋さんに卸すことになります。母と二人でせっせと作り、嫁・姑の仲も良くなります。
次は園部さんの口利きで、お父さんの会社が立ち直ります。それから江口さんから犬を預かり、妹の光来に任せます。反抗的な口しかきかなかった彼女が、犬をかわいがって穏やかになります。
教え子たちはみんなおばぁちゃんへの恩返しだと言います。おばあちゃんは相手の良いところを褒めるのが上手、辛そうな子がいると美味しいおにぎりを握って食べさせます。そしてちょっとした嘘が上手です。
上手く行きすぎの物語ですが、おばぁちゃんの食べ物を大事にする姿勢と、相手への的を得た誉め言葉は大事なことだと納得しました。
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