枝田光輝は、働く母と2人暮らしの小学5年生です。家事はまあまあ手伝えますが、勉強はダメ、運動もダメで、友達もいません。ところが5年生になったクラスで押野に初めて声をかけられて、友達になりました。押野は明るくてお調子者の人気者で、光輝とは真反対の男の子です。誘われて3丁目の空き地に行って、他の小学校の子供たちと一緒に野球をしました。でも彼はとんでもなく下手で皆に呆れられましたが、自然に受け入れられて居心地がよかったです。
ある日誘われて押野の家に行くと、彼の家と同じようなアパートの2階で、お姉さんが抹茶のプリンを作ってくれました。すごく美味しかったです。そしてクラスでは飼育委員になりました。小さな亀とグッピーを飼うことにします。世界が広がっていきました。
そんなある日、母から仕事を変えるために引っ越すと言われます。光輝はせっかく友達ができたのに、転校したくないと言います。そこで校区内に住んでいる祖父の家に預けられることになります。
おじいさんは古くて大きな家に住んでいます。庭もあります。ご飯を美味しく炊けるし、糠味噌漬けも凄く美味しいです。その夏休みは、朝6時半からはラジオ体操、午前中は宿題、午後はプール・・・と規則的に楽しく過ごします。押野をはじめ友達も遊びに来たり、泊まったりしました。グッピーの水槽も持ってきて、増やしました。押野のお姉さんがババロアを作ってきてくれた時は、おじいさんもすごく喜びました。光輝は廊下の拭き掃除、庭の水撒きなどお手伝いもしました。
8月1日、光輝の誕生日には、母さんがお祝いを持ってきてくれました。新品の自転車です。とても嬉しかったですが、本当の親子なのに、母とおじいさんはちぐはぐな雰囲気です。その夜も泊まらずに帰りました。
*光輝の感性と目線で書かれたこの物語は、彼の思いがまっすぐに読み手に伝わります。大人になった光輝は、5年生の1年間がいろんな意味で思い出深いと述べています。きっとその年が出発点だったのでしょう。
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