また、マハさんの登場です。
スピーチライターという職業は、日本ではまだあまり知られていません。この小説では、企業の社長さんの挨拶や代議士の演説のスピーチを書く人のことです。
主人公の二宮こと葉は、製菓会社でOLをしています。幼馴染みで片思いに終わった今川厚志君の結婚披露宴の折、社長の詰まらない祝辞と対照的に、感動的なスピーチをした女性に驚きます。
その女性は、久遠久美。スピーチライターを仕事にしています。紹介されて事務所を訪れると、そこはマンションの一部屋。狭い場所に本が山のように積んであります。
こと葉は、仲良しの同僚の結婚式に招かれてスピーチをするため、相談をします。そこで彼女が教えてくれたことは、次の基本。
- 聴衆が静かになるのを待って始めること。
- しっかり前を向き、右左を向いて、会場全体を見渡して語りかけること。
- 言葉はゆっくり、声はお腹からだすこと。
- 導入部は静かに、徐々に盛り上げ、感動的に締めくくること。
- 最後まで、決して泣かないこと。
彼女のスピーチは、友人である花嫁にとても喜ばれました。こと葉は、久遠久美の事務所で手伝うようになり、ついに会社をやめて、彼女の助手として働き始めます。
そのうち、幼馴染みの厚志君が神奈川県から野党の候補者として立候補します。そのスピーチライターになります。彼のスピーチの素晴らしいこと!
マハさんらしい優しい読みやすい文章で一気に読みましたが、本当なら、なんて大変な仕事でしょう。人の目につかないところで、身を削るような仕事をしている、そんな人達が居るのでしょうか?
スピーチをするチャンスのある人達には、とても参考になります。そして人の話をよく聞くというところは、私も肝に銘じました。
ポチップ
コメント