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読感
19世紀、アメリカ南部の奴隷制度の酷さ『ある奴隷少女に起こった出来事』(ハリエット・アン・ジェイコブス 堀越ゆき訳)
アメリカ南部で生まれた黒人のリンダには、大工の父とお屋敷に勤める母と2歳下にウィリアムという弟がいました。15歳になった時には両親は亡くなっており、姉弟はドクター・フリントのお屋敷で奴隷として働いていました。主人も奥様もケチで冷たく、尊敬で... -
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アメリカの高校生の語る『ライ麦畑でつかまえて』(サリンジャー 野崎孝訳)
高校生のホールデン・コーンフィールドは、成績不良で学校を退学になります。その挨拶に受け持ちの先生のところへ行き、夜は同室者と喧嘩します。学校を出てから汽車に乗り、街で遊び、家に着くまでの話が事細かく記されています。この少年の観察は細かく... -
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最後に涙が止まらない『朝が来る』(辻村深月)
35歳同士の夫婦、栗原清和・佐都子は不妊症治療をしても子どもに恵まれません。テレビで見た「特別養子縁組」に引かれます。子どもを育てられない母親の赤ん坊を子供に恵まれない親が引き取る制度です。二人は養子を育てることを決心して、広島の「ベビー... -
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戦争のことが隅々まで分かる『西部戦線異状なし」(レマルク 秦豊吉訳)
*20歳になったばかりの青年パウルが見たこと経験したことを語っているので、まっすぐに事実として伝わってきます。 彼には戦友がいます。前線に出ていない時は、カルタをしたり冗談を言い合ったりしています。関心の最たるものは食事です。白いバンと肉の... -
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輝さんワールドを楽しめる『灯台からの響き』(宮本 輝)
*自称「輝さんファンクラブ・メンバー」の一人としては、久しぶりに宮本氏の世界を楽しめました。 物語は、亡くなった奥さんに送られてきた一枚の葉書を元に、日本にある主な灯台を巡る話ですが、住んでいる板橋商店街の詳しい様子、商うラーメン屋の店の... -
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戦争と難民の今『こんぱるいろ、彼方』(椰月美智子)
奈月は大学生です。友人と3人で夏休みにベトナム旅行をする予定です。その話を聞くと、母の真依子は迷い悩みましたが、一大決心をして奈月の前に戸籍謄本を置きます。そこには、母の出生地がベトナム国ニャーチャン市と書いてありました。 夢にも考えたこ... -
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理系作家のエッセイ5編『八月の銀の雪』(伊与原 新)
☆八月の銀の雪:就職活動中の堀川は、どこも落ちてイライラしています。いつも行くコンビニの店員、アジア系の女の子のもたつきにも腹を立てます。ある日、同じゼミだった清田に声をかけられて、調子のよい商売に誘われます。仮想通貨を預かって運用するの... -
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痛々しい戦後日本のある家族の話『さよならは祈り 二階の女とカスタードプリン』(渡辺淳子)
*平成27年の話と昭和26年から41年までの話が交互に出てきます。その形でここに記すのは難しいので、初めと終わりだけ記します。 ・昭和26年10月、服部家は進駐軍キャンプ大津A近くの長屋に住んでいました。父は日雇い労働者、母は足が悪く、子どもは、... -
好日
広々と伸びやかな『相模原公園』
梅雨は明けたけれど日差しのない日、小田急線・相模大野駅からバスで20分ほどの相模原公園へ来ました。大木も茂る広々とした気持ちのよい公園です。目当てはアジサイ。ごく普通の薄紫のから真っ白くて丸いアナベルまで、たくさん咲いていました。ウィーク... -
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本を読み、まっすぐ歩くきっかけをくれた老婦人との交流『サキの忘れ物』(津村記久子)
*9つの短編小説から成る本です。その中から2つの作品を記します。 【サキの忘れ物】 千春は病院に併設している喫茶店で働く18歳の少女です。勉強はできず、夢中になれるものもなく、高校をやめました。そこへ、平日は毎日夜の8時に来て閉店の9時まで本を...