この作者のファンで、作品のほとんどを読んでいるのに、この作品は敬遠していました。今までに一度しか見たことのない伝統芸能なんて畏れ多い、と思っていましたが・・・。
読み出したら面白くて、いっき読みでした。
主人公の健は、高校の時に見た文楽で眠りこけたのに、語り手銀太夫の激しい一声で目覚めます。
卒業後に文楽研修所に入り、2年間修行してから、銀太夫に弟子入りします。この人間国宝が甘い物と女好き。そして相方に決められた三味線の兎一郎が偏屈な付き合いにくい男です。
住まいは友人がやっているラブホテルの一番奥の部屋を安い部屋代で借ります。忙しい時には手伝うという約束で。
小学校の文楽教室で仲良くなったミラちゃんの家に送って行った時、お母さんに一目惚れします。
上演される「女殺油地獄」「日高川入相花王」「ひらかな盛衰記」「本朝廿四孝」「心中天の網島」「妹背山婦女庭訓」「仮名手本忠臣蔵」の健が語るところと演じる側の様々な出来事が絡み合って、実に楽しくこの古典芸能を垣間見ることができました。
ポチップ
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