文哉の旅立ち・完結編『海が見える家 旅立ち』(はらだみずき)

「海が見える家」完結編

3月にアップした『海が見える家 続続編』は、文哉が管理する別荘地が台風で被害に遭い、彼は野菜も自分で作ってほとんど自給自足の生活をし始めたところで終わりました。今回は4冊目。台風から一年後、文哉の旅立ち・完結編です。

文哉は相変わらず海釣りをして、それをおかずに食事をするような生活をしていました。和海の手伝いをして賃金をもらったり、彼の姪の凪子の作る作品が売れると少し分け前をもらったり、細々と暮らしていました。一時的に姉が戻ってきて、3万円くれましたが、彼女の作る食事は洋風もどきで、彼の口に合いませんでした。

別荘はたたむ人が増えて、管理の仕事も低調です。野菜作りの師・幸吉は亡くなりました。けれど第一発見者で救急車を呼んで病院へ運んだ文哉は、葬儀に呼ばれませんでした。群馬の山奥から親しくしていた市蔵がやってきてお参りをして帰りました。

都会にすんでいる幸吉の息子・敏幸は、父の土地を売ろうと考えています。しかし文哉には手の出ない金額です。コロナの時代になって、南房総は物件の問い合わせが多いそうです。

文哉の元気のないのを、凪子は気にしています。以前より会話が増えました。今度山へ行くという文哉にツルを取ってきて、と頼みます。

文哉は群馬の山奥の市蔵の家を訪ね、一週間滞在します。山に入ってツルやキノコをとったり、汗だくになって山芋を掘ったりします。イノシシの燻製や山芋の美味しさに感動します。食べることが生きることの基本、と思い知ります。

山で取ったアケビのツルを持ち帰ると、凪子は喜んで作品にしました。そして彼女も山に住みたいと言います。母が亡くなった海の傍にいるのは、辛いのだと言います。

12月の初め、文哉は凪子を誘って山へ向かいました。山に分け入ったあたりで、お昼にします。凪子の作るお握りは何気ないのに、工夫があって美味しいです。その後、人の住めそうな山の土地を探します。姉は好きにしなさいと置手紙をして出て行きました。父の残してくれた家と土地は、1000万円位の値が付きそうです。

2月下旬、文哉はトラックの助手席に凪子を乗せて、自分が見つけた山の中の土地を見に出かけます。海の見えない場所です。

山で野菜や果物を作って暮らそうとする若者の意気盛んな出発です。気の合う連れ合いもできて嬉しいです。

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