聖書の話から10の物語『ベツレヘムの星』(アガサ・クリスティー 中村能三訳)

ベツレヘムの星

*心の動きを描くのが上手なクリスティー女史の物語から、3編選びました。

「いたずらロバ」:いたずらするのが大好きな小さなロバがいました。背中に何かを乗せられると振り落としたり、人を追いかけて噛みついたりします。飼い主は始末に困って売り、次々に人手に渡って最後にはこき使う酷い爺さんです。ロバは逃げ出して隊商の中に紛れ込みました。この一行はベツレヘムに行くところでした。

町に着くと大きな宿屋の厩に落ち着きました。そこへ産気づいた女の人が入ってきて、赤ん坊が生まれました。羊飼いたちが来て赤ん坊を褒めたたえました。次におえらがたが贈り物を持ってきました。

飼い葉桶のそばに立っていると、赤ん坊はロバの耳をつかんで、しっかり握りしめました。すると不思議なことに、ロバはいたずらをしたいと思わなくなりました。生まれてはじめて、いいことをしたいという気持ちになりました。贈り物は何も持っていません。そうだ、自分をそっくり赤ん坊にやってもいいではないかと思います。

父親のヨセフが母マリアに「この子を連れてすぐに逃げなくてはならない」と言います。「このロバを連れていこう。飼い主にはお金を置いていけばいい」。彼らはロバに乗ってベツレヘムを後にし、山の方へ向かいました。ヘロデ王の軍勢が道を駆けて行きました。

ロバはぼんやり先の光景を見ます。大人になった坊やが穴に落ちたロバを引き上げています。それからロバに乗って町へ入って行きます。頭には茨の冠がのっています。

ロバはもう先のことを見たくありません。その日その日を生きて、小さな坊やを愛して、この家族をエジプトへ送り届けたいと思いました。

「水上バス」:ミセスハーグリーブスは人間嫌いでした。好きになろうと努めても、難しいことでした。特に体が触れ合うことが嫌でした。ですから遠くの奉仕団体に寄付はしました。ある日、通いの女中が娘が重い病気で入院していると泣いていました。でもうまい慰めの言葉が出てきません。

買い物に出ました。肉屋の前で順番を争って言い合いをしていました。なんてすさまじい人たちだと逃げるように去りました。バスに乗ると不機嫌な車掌が乗客を乱暴に扱っています。うんざりしました。無人島に行きたいと思います。

テームズ河に来ると、がら空きの水上バスが出るところでした。ホッとして乗ります。船尾に子供連れと数人が、船首に外国人風の男が一人います。一枚織りの美しい上着を着ています。彼女は抑えきれず、そっと触れてみました。すると万華鏡のように過去の自分が映ります。泣いている通いの女中の肩を抱いて慰めています。肉屋の前…、彼女たちは喧嘩を楽しんでいました。機嫌の悪いバスガールは前の晩に恋人から待ちぼうけを食わされたので、八つ当たりをしていたのです。

彼女はほんのひととき、人々と共にいて好意を持って接していました。美しい上着を着たその人が誰だかわかりました。心の底から「ありがとう」と言いました。

「夕べの涼しいころ」:教会の礼拝で、グリアスン夫人は必死で息子が健やかになるようにと祈っていました。教会堂を出ると、友人たちとのおしゃべりの中に、それぞれの息子たちの話が出てきます。自慢話もあります。別れてから友人の一人がもう一人にグリアスン夫人の一人息子が知恵遅れだと話します。

家に帰ると幸せそうな息子が庭から走ってきて、手の中の小さな動物を見せます。カエルのようですが、毛が生えて羽もあります。丘の上の研究所で事故があってから、この辺の動物には奇形が増えました。庭にはもう一人動物の好きな人がいて、少年がつける動物たちの名前を気に入ってくれます。少年はその人が神様だと知っています。教会のなかではなく、いろいろなところに住んでいると話してくれました。

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • 佐々木 先生~~!!

    徐民慶と申します。^^
    こんにちは.ブログをなさってますか? ウワ~~!! 
    ネットで 先生の書き物を読んだら近くに先生がいらっしゃるようにかんじられます。^^
    実は日本語で小説を読みたいのでいい本を探していますけれどもなかなか見つからなくておなじ作家の本を読んでいます。 ’コンビニ人間’を読んでから子供向けの偉人伝を読んだりしています。 今は群ようこの ’パンとスープと猫日和’のシリーズを読んでいます。
    先生のブログにたくさん本を紹介していただいて嬉しいです。これから何を読むかたのしみです。^^

    私が書いた詩 ’ベツレヘムの星’は春に咲くお花です。小さくて可愛ったそうです。いベツレヘムの星は花びらの形が星に似てるから’ベツレヘムの星’っていう名前付きになったそうです。
    東京にも佐倉にもあちこちたくさん咲くので春になったらこらんください。
    ベツレヘムの星を書くとき先生がおっしゃったように私は悲しい気持ちが多いです。でも伝道のために
    頑張ります。

    「ベツレヘムの星」はいろいろなはなしが入ってますね。いたずらロバの話が印象的でしだ。
    私も読みたいです。

    今日、お菓子いただきました。ありがとうございました^^
    時々来て先生の書き物を読みます。 すごいです~!! 読書のブログ!! 先生がお元気に過ごされているのを見てうれしいです。 ありがとうございます!!

  • すみません。間違いました。
    書き直したいです
    小さくて可愛ったそうですー>小さくて可愛いです。

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