*第166回芥川賞を受賞した、文芸春秋に載っている作品を読んでの感想です。出だしから彼のいる状況がスーッと入ってくる文章でした。
佐久間亮介はメッセンジャーバッグを背負って、雨の中、自転車を走らせています。ベンツに邪魔され、トラックに雨水をはね返されて、路上側に倒れます。金具が変形してしまったので仕方なく無線機でDPに連絡します。お堀端の近くにいる仲間に連絡して、配達物を取りに来てもらい、届けてもらいます。そして仕方なく歩いて新宿の営業所に戻ります。
彼は、自由がきいて好きな自転車に乗れる、歩合制というのが気に入って、この自転車便という仕事をしています。でも一生できる仕事ではありません。体力がいりますし、みいりも多いとはいえません。昔から嫌になったら辞めるという生き方で、ちゃんとしろ、とは思っています。
佐久間には妻がいて、大家の離れという二階建ての家に安い家賃で住んでいます。150センチ足らずの妻が、「子供ができた」と言います。ちゃんとしなくちゃと改めて思います。ある日税務署から調査官が来て、納税を迫られます。バカにされた感じで急に腹が立ち、2人に暴力をふるいます。やってきた警官にも怪我を負わせて、刑務所に入れられます。
刑務所の生活は規則的で、外れた時は独房に入れられます。妻から手紙が来ても読まず、彼はこれからどうするのでしょうか?
*本当にブラックな話ですが、共感を抱く人々も少なからずいるのでしょう。辛いです。
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