中谷美紀さんは女優です。6年前にドイツ人のヴィオラ奏者と結婚して、1年の半分をザルツブルグの標高600mの場所にある自宅で過ごしています。この本はコロナでロックダウンの始まった年の5月1日から7月24日までのエッセイ風日記です。
6月の末の猛暑に辟易して、涼しい場所での長閑な日々にあやかりたい、などと暢気な気持ちで読み始めましたが、トンデモナイ!中谷さんの勤勉さと努力に暑さが吹き飛びました。
ご主人もウィーンフィルハーモニーその他の演奏会が中止になって、自宅にいらっしゃることが多いです。普通の主婦の仕事をこなし、ドイツ語のオンラインレッスンを受け、庭の草取りにも精を出します。
驚いたのは、ご主人の別れた奥さんと暮らしている小学校低学年の娘が、週に1度以上遊びにくることです。ゲームをしたり一緒にお料理をしたり、楽しく過ごします。送迎の時に顔を合わせるその母親とも和やかに、、、。感心しましたが、ヨーロッパやアメリカでは当たり前のことのようです。
もう一つ感心したのは、朝昼晩の食事が豪華ではないのに洒落ていて美味しそうなこと。参考になりました。
ドイツやオーストリアの男性は自然を楽しむ趣味を持つ方が多いと聞いていましたが、彼女のご主人はロードバイクやマウンテンバイクが趣味で、半日時間があれば出かけて行く逞しい男性です。
お2人の、相手を気遣い合う優しさが行間から感じられました。
最後の方でコンディショニングセンターの詳しい内容が出てきます。美紀さんは股関節に不具合を抱えていて、そのメンテナンスをすることに。こんなに高度な設備と優秀な医師や理学療法士を備えた施設があるのですねー?!
私は2回ザルツブルグを訪ね、音楽と自然を楽しみましたが、日常生活はこのようなのだということを詳しく知らされました。
努力家の美紀さんが股関節を治して、ドイツ語が堪能になる日もそう遠くないでしょう。
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