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文化人類学者の友人を訪れた作家の記録『女二人のニューギニア』(有吉佐和子)
友人の文化人類学者・畑中幸子さんの「あんたも来てみない?ほんまにええところや」の誘いに乗って、1968年3月インドネシアを訪れた後に、ニューギニアにやってきた作家・有吉佐和子のありのままの記録です。 小さなセスナ機でオクサプミンに着いてからは... -
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日常的な話にみえるけれど・・・『春の庭』(柴崎友香)
東京・世田谷線の駅から徒歩15分の所に築31年の「ビューパレスサエキⅢ」はあります。1階と2階に4部屋ずつあり、どの部屋にも12支の名前がついています。太郎は亥室です。30歳、離婚して今は独身です。アパートの誰とも付き合いはありませんが、最近2階... -
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しばしば笑ってしまう『花桃実桃』(中島京子)
花村茜は43歳独身の勤め人です。父が亡くなって、郊外のぼろアパートを相続することになります。築20年、9戸のうち4戸も空き家です。見に行った日は桜の花びらが散っていて、花桃、レンギョウ、ドウダンツツジが花盛り。しかも花壇に花を植えていた老女に... -
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クリスマスにまつわるお話『わが心のクリスマス』(パール・バック 磯村愛子訳)
*クリスマスにまつわる14編のエッセイから3編を選びます。 「遠い昔のクリスマス」:遠い昔、中国北部の古い町で初めて夫と二人だけのクリスマスを迎えようとしていました。夜中の12時ごろ玄関で小さなノックの音がしました。こんな時間にだれだろう、と... -
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聖書の話から10の物語『ベツレヘムの星』(アガサ・クリスティー 中村能三訳)
*心の動きを描くのが上手なクリスティー女史の物語から、3編選びました。 「いたずらロバ」:いたずらするのが大好きな小さなロバがいました。背中に何かを乗せられると振り落としたり、人を追いかけて噛みついたりします。飼い主は始末に困って売り、次... -
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仲良しの従姉との温かな日々『クリスマスの思い出』(トルーマン・カポーティ 村上春樹訳)
広々とした田舎家に親戚と住む僕と従姉は、7歳と60歳過ぎだけれど仲良しです。11月の終わりに近い日の朝、彼女は「フルーツケーキの季節が来たよ!」と叫びます。二人は僕の赤ん坊の時のうばぐるまを引いて、果樹園へ行きます。風で落とされたピーカンをた... -
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江戸時代の日本からローマへ行って帰って殉教した男『殉教者』(加賀乙彦)
*今はアドベント(待降節)です。クリスマスを祝う日曜日から4週間前の日曜日より、クランツの4本のローソクに1本ずつ火が灯ります。11日には2本、18日には3本、25日の当日には4本のローソクが輝きます。その季節にふさわしいイエス・キリストに関わる... -
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14編の短編集『杜子春』(芥川龍之介)
*それぞれ印象深い短編ですが、長くなるので特に私の心に留まった話を記します。 「秋」:信子は女子大生の時から才媛でした。大学生の従兄の俊吉とは仲が良くて、文学の話をしたり妹も一緒に音楽会や展覧会に出かけました。周りがこの2人は結婚するもの... -
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映画はさらに素晴らしかった『日の名残り』(カズオ・イシグロ/土屋政雄訳)
この映画を見た時、執事を演じたアンソニー・ホプキンスにすっかり参りました。まさにイギリスの執事のイメージにぴったりでした。その印象のみ残っていたので、原作を読んだときに改めてイギリス上流階級の執事という役割に感じ入りました。 ダーリントン... -
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温かくて清々しい『夏美のホタル』(森沢明夫)
プロのカメラマンを目指す22歳の慎吾と幼稚園教諭の23歳の夏美は仲良く付き合っています。ある休日、夏美のホンダのバイクの後ろに乗って、房総半島の森の奥へ走っています。突き当りに木造の雑貨屋がありました。二人はトイレを借ります。そこには84歳の...